サンプル画1 作品完成までの過程を紹介しますのでご参考にしてください
1 この写真を絵画にいたします。
ハガキ大のプリントですが、詳細は大体は掴めますので
大丈夫ですが、暗い部分は多少の描写力・想像力を必要とします。
描くサイズは436x340
デッサン縁 大衣に額装の予定ですので多少力が入ります。
2 大体の輪郭をデッサンします。
体毛の光っている部分を考慮しながらバックにボカシを施します。この作品に限らず、体毛がある動物の場合、ハッキリしている箇所は眼、鼻、口となりますので、そのバランスはこの時点でしっかり決めないと、後で修正はできません。ボカシのテクニック等は受講の過程で説明いたします。この作品では、目の部分から筆を入れる事にしました。
3 目の周りから少しずつ描いていきます。
写真ではかなり暗く映っていますが、最初は比較的明るく描いておきます。今回、水彩絵の具で着色を施しています。
眼を描き込んだだけですが、白い紙に生命が吹き込まれて行きます。
4 眼の周りから徐々に額の部分へと移行していきます
写真とそっくりに描くという事は、この作品の場合は難しいですからこの時点では多少アバウトで構いません。
5 額が描けたら鼻の部分へと進んでいきます。
ゴリラの場合は眼から鼻にかけての皮膚の表現が一番難しい作業かも知れません。
写真とまるっきり同じような皺の表現は不可能ですから
大体で妥協します。
6 口までの輪郭が何となく掴めましたら少しずつ顔の毛を描いていきます。
この時点では口元等、線の表現ですからまるでチンパンジーのような可愛い雰囲気で少しホッコリします。
真ん丸な眼が可愛く見えますね。
7 両頬の毛をアバウトに描き込み、体毛の輪郭も加筆します。
この時点でようやく全体像が見えてきました。
この時点では、描いていてあまり楽しさは在りませんが
、何となく絵の完成形が視認できて安堵感は生まれます。
8 口元を描きこんでいくと何となく写真に近づいていきます。
しかし、まだ可愛い感じが否めません。
この時点で、7の過程で描いた毛の部分をボカシていきます。こうすることで、白い箇所が埋まり質感が出てきます。
9 ボカシが終わったら、再び最初の工程に戻ります。
目の周りを更に描きこんでいきます。
皺を描きこむことによって、徐々にリアリティーが増していきます。
それなりに大きなサイズで描いているとそれなりに疲れてきます。この時点で要した時間は3時間ほどです。
まだデッサン感覚ですから、気楽さの方が勝っているのが救いではあります。
10 更に描きこんでいきます。
進めて行く順序は基本絵に向かって左からが理想です。
本来は左の上からがセオリーですが、この場合は毛並みの描き込みに順じていきます。
右利きの方は右から進めて行くと、どうしても左を描くとき手を添えるので紙が汚れてしまいます。
鉛筆画の場合もそれなりに汚れますが、特殊鉛筆は炭材ですからその頻度はかなり高まります。
11 頬から額へと進んでいきます。
筆の進みと並行して段々、絵が形を成していきます。
12 更に描きこんでいきます。
この時注意することは、単に鉛筆を走らせているだけでは無いという事です。
写真をジックリ観察しながら、毛の流れ一本一本に留意しながら進めて行く事が重要となります。
これは、動物全般に言える事ですが、毛並みの表現が眼の表現の次に大切な事ですので、是非、手抜きはしないようにしてください。
13 取り敢えず、アバウトながら全体に毛並みを施しました。
作業としてはここで初めて一段落となります。
後は、また元に戻りながらの描き込みとなります。
これからの作業が少し楽しい時間となります。
まだまだ、この時点で僕の中ではデッサンに毛が生えた作品の状態です。
14 口元を重点的に描きこんでいきます。
写真ではかなり暗くなっているという事は、鼻から上唇より、下唇、顎の部分が光が当たっていないので窪んでいるという判断です。皺、汚れというより、元々色も濃くなっているのでしょう。
ここを暗くする事で、鼻から上唇の部分が強調されて
立体的になります。
15 画像ではあまり明確ではありませんが、口元から頬、更に目の周り、皺の部分等、少しずつ加筆を施しています。
この時点で完成に向かってラストスパートとなります。
作品の完成です。
15の作業工程の中でかなりの描き込みになっています。
写真に比べ、瞳孔の部分はあえて明るく抑えました。
顔の輪郭も比較的 細く仕上げて男前ぶり?をUPしました。実際にはA3サイズより大きなサイズですので実物はそれなりの仕上がりとなりました。
自分の感性で自由に描ける事が写真とは異なった大きな利点です。
絵画全般に共通することですが、僕の場合は全てエンドレスです。
完璧な仕上がりになった作品はほぼ皆無ですが、どこかで見切りをつけ蛇足にならない程度でサインを入れて終わりとなります。
サンプル画 2 作成のご参考にしてください
このお写真を炭材による作品にいたします。
飼っておられるワンちゃん、ニャンコを描いてみたいと思われた方は少なくないでしょう。
簡単そうですが、いざ描いてみると意外と難しい事に気付かれると思いますが実際に制作手順をアバウトですが解説していますのでご参考にしてください。
❶ 写真では影の部分がハッキリと分かりませんが良く観察することで微かに判別できます。
コインなどは無視してこの場合、目線の先に紙風船を置いてみました。
その為、ニャンコ自体を左の方にズラシた状態で大体のデッサンをします。
にゃんこの目元がハッキリ写っていませんが、紙風船を見ている姿を強調するため、やや大き目な瞳に描いてみました。
❷ 基本、右利きの場合は紙汚れを避けるため左上から描いていくのがセオリーですが今回は顔から描いて行く事にします。
写真をよく観察しながら、アバウトに毛並みを描いていきます。 全体像を掴むために薄く輪郭も描いていった方がいいでしょう。 この時注意することは線でくっきり描くのではなく毛並みにあわせ薄い線で描いて下さい。 毛並みを見ながら暗い所にも気を配りながら描いていくとソレだけで絵になっていきます。
❸ 取り敢えずですが線の集合体によって何とか作品の基本が完成しました。 ここまでに費やした時間は2時間弱です。 A4サイズですと3,4時間ほどで完成することもありますがこの作品の場合はF6(A3サイズ位)ですから簡単にはいきません。
サイズが大きくなったら手間もかかっていきますしバランスなど、様々な条件も増していきます。
しかし、この時点のデッサンが作品の基になりますから手抜きはしないでください。
❹ ❸での工程に加筆していきます。
全体が見えてきましたから後は密度を上げ、毛並みを描き込む作業となります。
ここまでの作業はあまり楽しくありませんが、ここで描き込む事によって後の作業が楽しくなっていきますから頑張りましょう。
❺ ここからが一気にリアル感を増していく作業となります。
❹で描き込んだ線をボカシていきます。
ボカスことで折角描いた線が擦れてしまいますが、その見返りに密度がUPする事によってにゃんこの皮膚感さえ感じてきます。 要は紙の白い部分が無くなっていくという事です。 絵にリアル感が増すことで楽しさもUPするかも知れません。 この時点でにゃんこの存在感を増すために影の描写を施します。
❻ ❺の工程で満足される事もあるかも知れませんが、更に描き込んでいきます。 影の部分もバランスを考えながら追加します。 この影の付け方によって作品全体の安定感に繋がりますから結構大切な要素です。
絵ですから基本好きに描けばいいのですが、この陰影によって作品が更にグレードアップするかも知れません。
しかしながら、この作業は描く人の感性ですから第三者には中々指導しかねない工程となります。
さあ、いよいよ完成に向けての加筆サインインです。
最後にアドバイスを致します。
現在は時間的な絡みがあり絵画教室は止めていますが、先ず生徒さんに伝えることは物に対するデッサン力・観察力を養うことを課題としていました。
観察力を鍛えることで、極論ですが見えていないものが見えてきます。
それが想像力・表現力へとつながり、作品の描写力がUPしていきます。
モノクロ作品であろうと、色を想定しながら描くことで作品に色を漂わせることになります。
物理的に黒い色も、陰影がもたらす黒色も、モノクロの世界では同じ表現となりますが、そこに描写力が養われることでモノの存在感が可能となります。
たかが鉛筆一本であっても、運筆の速度・芯の角度などを駆使することによって様々な表現が可能となります。
僕の場合は商業として描いていますので、基本、静物画の鉛筆作品は存在していませんが光沢を放っている機器・透明なグラス・・・などそそられるモチーフも多々存在します。
描く対象物の中で一番難しいのはやはり人物画です。
眼の輝き、鼻、唇の形・・・どれ一つを上げても少しの狂いでおかしな仕上がりになってしまいます。
僕の場合はそれが注文作ですから、妥協は許されません。
肌の表現もテクニックを要します。
若い人、特に女性や幼児のつるっとした肌の表現が一番の難敵です。
男女に限らず、老齢の方には皺がありますから、ボカシが比較的容易にできますが、若い肌の表現描写はボカシの技法をマスターしないと先ず描くことは不可能です。
先ずは静物から動物(ペットなど)へと移行されることを推奨いたします。
無為に過ごしても、ガムシャラに過ごしても時間は均等に流れていきます。
形のない時間に「絵」を描くことも一つの生きている証、生きてきた証を形として残せる一つの財産だと、僕は思っています。
とにかく、楽しい時間を持つことが何よりですから、気軽な気持ちでご一緒にスタートできることを願っております。